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議会の動き

《第1回臨時議会・5月14日−17日》
  • 議長副議長を始め各委員会の役員改選
    全てのポストが投票による選挙となり多くが投票数同数にて決戦の抽選により決定された。その結果、西尾議長、橋川副議長が就任

  • 舟橋裕幸の所属委員会
    健康福祉環境常任委員会(委員長)
    予算決算特別委員会

  • 新政みえ31人より上野、杉之内、岡部、永田、野田議員5人が離脱し「無所属・MIE」を結成。自民党と連携を取る。

  • 桑名市内において不法投棄された産業廃棄物による汚染修復に係わる代執行経費など補正予算案他議案3件、専決処分の報告18件提案可決

  • 紀南交流拠点事業断念

《第2回定例議会・6月13日−6月29月》
  • 知事、「政策推進システム」の構築と「行政経営品質向上活動」を県政改革の2大戦略として位置づけ、県民満足度の高違憲性を実現するため、全力で取り組むと提案
    具体的には、「電子県庁」バージョンアップ、志摩サイバーベースプロジェクトを中心とした産業経済の活性化、三重県市町村合併推進本部の設置、産業廃棄物税の創設

  • 総額8億円の一般会計補正予算案、県産業廃棄物税条例など条例案10件、その他議案6件、追加議案6件計23議案提案可決

  • 特徴的な議案
    三重県産業廃棄物税条例案
     産廃の排出抑制とリサイクル推進 年間1000トン以上の排出業者にトン当たり1000円課税
     可決に当たり審議した常任委員会が三重県産業廃棄物条例案に対する付帯決議
          「当局におかれましては、この条例の施行後、施行状況、社会経済情勢の推移など様々な状況を勘案し、必要と認めるときは3年から5年を目途に適時適切に、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとする。」

     産業廃棄物税の主な使途
         産業廃棄物抑制等事業費補助金 約1億5600万円
      産業廃棄物抑制等設備機器整備資金利子補給補助金 1000万円
      企業環境ネットワーク支援事業 5000万円
      産業廃棄物リサイクル技術研究開発費 1600万円
      産業廃棄物処理センター適正処理支援等事業 8000万円
      産業廃棄物監視強化対策事業 8900万円

    三重県改良普及員資格試験条例の一部を改正する条例案
    (受験資格の改正)
    三重県卸売市場条例及び三重県中央卸売り市場条例の一部を改正する条例案
     市場の開設者などの分割について規定整備
    人事議案
     副知事、公安委員会委員、監査委員、人事委員会委員、収容委員会委員

  • 可決された意見書
    第1号 訓練飛行空域の見直しを求める意見書
    第2号 農業の持続的発展を求める意見書
    第3号 地方分権に向けた地方税財源の充実を求める意見書

  • 決議第1号 ハンセン病問題に関する決議

  • 大谷特別秘書退職の経過報告


《予算決算特別委員会・7月10日》
  1. 地方財政を取り巻く国の動向
    (短期的動き)
    • 国債発行額を30兆円以下に抑制、地方交付税交付金1兆円縮減
    (中期的動き)
    • 地方交付税などの見直し
    • 地方税の充実確保

  2. 県財政の現状と今後の財政見通し
    • 県税収入は本年度に比べ約140億円の減収
    • 歳出において公債費がピークとなり本年度に比べ約100億円の増加
    • 本年度に比べ約260億円の財源不足が見込まれる

  3. 舟橋裕幸の質問
    • 道路特定財源が減額された場合、県道路10カ年計画の推進に対する県の考え方
    • 道路特定財源は、目的税的色彩が強く、他目的に流用するなら現行の暫定税率を下げ、他税目を増額する議論をすべきではないか
    • 三重県下で徴収される国税、県税、市町村税、及び国からの交付税などの実態は



新たな世紀におけるヨーロッパの動き 2001年度三重県議会欧州調査団
●はじめに

 平成13年度三重県議会ヨーロッパ調査団は、4月15日から4月27日までの間、デンマーク・イギリス・フランス・ドイツの四ヶ国を訪問し、オンブズマン制度・教育改革・農業政策・首都機能移転・廃棄物処理対策等の調査を行い、報告書としてまとめました。
 今回の調査は、21世紀の 「三重のくにづくり」 に必要な課題をテーマとして選びました。  具体的な事項として、

  • デンマークにおいては、法に基づき公正で透明性のある議会運営、行政執行等を国民の求に応じてチェックするオンブズマン (監視人) 制度、男女共同参画社会づくりの推進にとりくんでいる 「女性問題研究広報所」
  • イギリスでは、国の重要政策として進められている教育改革の柱となっている教育水準監査院 (OFSTED) 制度、イギリスの農家を代表する組織である 「イギリス農民組合」 (NFU) のとりくみ
  • 農業国フランスでは、畜産と穀物の主要生産地であるレンヌを訪問し、畜産農家の現状とブルターニュ地方の農業会議所がとりくんでいるグリーンツーリズム等
  • ドイツでは、原子力発電政策転換の起動力となった 「緑の党」、ベルリンへの首都機能移転の進捗状況と東西ドイツ統一後の新たな都市づくりのコンセプト及びフランクフルトにおける一般廃棄物処理対策

の調査を行いました。
 この調査を通して、国民が収入の50%を納得して納税しているデンマーク、第二次世界大戦前のベルリンを再生するまちづくりにとりくむドイツ、目まぐるしく変わる教育改革に対応できず教員のなりてのないイギリスなど、日本とは異なる各国の状況を学ぶことができました。
 季節は4月下旬でしたが、ヨーロッパは例年にない寒波で日本の2月のような気温でした。寒くて毎日コートは離せませんでしたが、天候には恵まれ充実した調査ができました。

  平成13年5月
三重県議会議員  
  辻 本  進
  福 山  瞳
  萩 野 虔 一
  西 塚 宗 郎
  舟 橋 裕 幸
  大 野 秀 郎

●調査日程と訪問先
1日目 4月15日(日) 関西国際空港 → フランクフルト → コペンハーゲン
2日目 4月16日(月) コペンハーゲン行政調査
3日目 4月17日(火) デンマークオンブズマン → デンマーク女性問題研究広報所 → ロンドン
4日目 4月18日(水) ロンドンステイトスクール
5日目 4月19日(木) イギリス全国農業組合 (NFU)  → パリ
6日目 4月20日(金) パリ → ブルターニュ地方農業会議所
7日目 4月21日(土) レンヌ → パリ
8日目 4月22日(日) パリ
9日目 4月23日(月) パリ → ドイツ緑の党
10日目 4月24日(火) ドイツ首都機能移転調査 → ベルリンまちづくり調査
11日目 4月25日(水) ベルリン → フランクフルト廃棄物処理場調査
12日目 4月26日(木) フランクフルト → 名古屋空港
13日目 4月27日(金) 名古屋空港

目次
調査日程と訪問先
調査内容
 1) オンブズマン制度について
   議会に代わる監視機能
 2) デンマークにおける男女共同参画の現状について
 3) イギリスの教育改革
   調査目的 / 義務教育制度 / 義務教育での全国共通テスト / OFSTEDによる業績評価 / 教育改革の問題
 4) ヨーロッパの農業情勢
   NFU (National Farmars Union) / ルイ・エ・ビレーヌ県農業会議所
 5) 緑の党を訪問
   緑の党について / 原子力発電所の廃止 / 環境問題について
 6) 首都ベルリン
   その街づくり / CO2 の排出 11%削減!?

●調査内容
1 オンブズマン制度について
 議会に代わる監視機能

 デンマークの国民は収入の50%を税金として納めています。
教育、医療、福祉は無料です。
 国民は将来に不安をもたず76%は満足しているそうです。
 国民に不満がないのは、基本的には政策に対する理解と、行政に対する信頼です。
 この信頼を担保するのは議会の監視機能です。
 議会の議員が個々に具体的な事案を処理する時間がないし専門的な知識や技術が必要です。
 そこで、議会 (議員) に代わって行政を監視、監査する機関が必要になり考えられたのがオンブズマン制度の始まりです。
 オンブズマンは憲法に明記され、その選任は議会において行われます。
 何人もオンブズマンという名称を使用してはなりません。新しく選挙された改選議会において、選任されます。
 選ばれる人は法律の専門家であり、政治色のない人物がえらばれます。

  1. 権限
     全ての調査が出来、国家機密にも立ち入ることができます。(調査の内容は公表できないが)
  2. 任期
     国会議員と同じ
  3. 調査の範囲
     国政のあらゆる分野23省512部門に及び年間4000件もあり窓口業務から、外交問題の処理の適否までの申し立てがあります。
     申し立てのうち調査の結果、是正勧告するのは10%くらい
  4. 権能
     オンブズマンは行政に改善勧告ができます。
     行政が従わない場合は、裁判所に持ち込んで執行命令を出します。
     裁判所の判決は99.9%がオンブズマンと同じだそうです。
  5. オンブズマンの地位
     国会、行政から独立し地位は保証されています。
     報酬は最高裁長官と同じであり、国王主催の行事での席順 (日本で言う宮中席次) は高いそうです。
     国会、行政を調査できます。国会や行政から圧力がかかりません。
  6. スタッフ
     オンブズマンは一人ですが、多数のスタッフをもっています。
     弁護士の資格のある人が60人います。
     苦情の申し立て、新聞情報その他で調査をします。
将来に不安のない国、社民政権資本主義国
デンマーク


  国と地方の財源, 仕事はきっちり分けられ地方分権が確立している。

国と地方の税源の割合と役割分担
  税の負担と役割分担は次の通り。
国 20%
  国防、外交、法務 (立法、司法)、治安、大学、ハイウエイ (幹線道路)
県 10%
  医療 (病院は全て県立)、高校、県道
基礎自治体 (コモーナ)  20% (日本の市町村)
  小学校、保育所、託児所、スポーツセンター
  老人福祉〜介護の主流は在宅介護 (重度の人のみ施設へ)


2 デンマークにおける男女共同参画の現状について

 4月17日、コペンハーゲンにあるクビンフォ (女性問題研究広報所) を訪問しました。王立図書館の司書で、女性問題研究家でもある レーナ・フォルストさんが迎えてくれ、デンマークにおける男女共同参画の歴史や現状を中心に説明をしていただきました。

(1) クビンフォの歴史的背景と業務内容
 1960年代、王立図書館の中に、女性問題の書籍が集められ、社会に女性をアピールするという目的で、クビンフォが設立されました。
 1987年、文化省の管轄となり、国家予算もつくようになったのです。そして、女性問題の研究委託料なども収入の一部となり、現在、12名の常勤職員が働いています。
 1997年、オフィスを移し、女性問題の専門的な資料や、コンピュータのデータベースが完備され、週4回の一般公開、月刊雑誌発行、展示会、講演会など、活発な活動を展開しています。
 世界各国からの来訪者も多く国民の利用度も高いということです。政治的背景は、一切ないということでした。

(2) デンマーク国内の女性問題
 ノルウェー・スウェーデンなど、北欧は、世界でもっとも男女共同参画が進んでいるといわれていますが、その中でも、とくにデンマークは先進的で、国会議員の女性率33%、欧州議会議員43.8%、市議会議員27.9%と、EU加盟国中第1位、女性の政党党首は当り前ということです。
 このように、女性の社会進出が進み、男女同権の社会になったのは、1960年以降で徹底した労働力不足がそのきっかけになったということです。
 デンマークは、第二次世界大戦で爆撃を受けなかったので、戦後の復興が早く、労働力が大きく不足しました。女性の労働力が期待され、そのために、保育などへの社会的支援が充実し、同時に、職場における男女平等も大きく前進しました。
 政策決定の場への女性の進出は、国から地方自治体の選挙まで、比例代表制で、政党の候補者を、男女交互にすることが義務づけられるなど、積極的平等策がとられているからです。結果として、女性の政治参加は増加し世界でトップクラスの男女共同参画社会になっているわけです。
 収入の50%以上が税金で、消費税25%という高負担でも、国民の合意が得られているのは、医療、年金、介護、保育、教育などの制度が充実し、老後や、いざという時の心配がない社会になっているからです。
 性別役割分業意識が根強く、介護や子育てを女性に依存している日本の社会と比べ、大変うらやましい状況です。
 また、最近日本で、とくに問題になっている、ドメスティックバイオレンスや児童虐待、セクシャルハラスメントについて、現状を質問したところ、「皆無とは言えないけれど、問題になることはほとんどない」 ということ、「家庭でも、社会でも、男女同権だから、当然」 という説明が返ってきて納得しました。

(3) デンマークの子育て支援
 女性の就業率が世界一で、専業主婦がほとんどいない、ということもあり、子育て支援制度は、大変充実しています。
 0〜3歳児は託児所、4〜6歳は保育園、1〜3年生は学童保育所、4年生以上は青少年クラブが、きちんと整備され、両親が働いていても、カギっ子にする不安はない、子供は、プロに任せるのがベストという考え方が一般的で、保育の専門職への信頼感が強くあります。
 また産前産後休暇は、産前4週間 (母親のみ) ですが、産後は、100%有給で、24週間あり、最後の10週間は、父親もとれることになっています。育休は、日本と同じ1年間で、請求があれば、雇用主は、拒否できません。
 共働きがほとんどですが、労働時間が短く、父母共に早く家庭に帰り、家事、育児を共にするのが普通で、休日は、家族単位で生活を楽しんでいるようです。
 ただ、保育所などの施設にあずける時間が長すぎることについては、少し見直しが必要との考えも出てきているとのことでした。


 コーヒーブレイク

 自転車は国民の足
 デンマークでは国王も自転車で街をツーリングしているとのことです。
 地下鉄にも自転車持込が可能です。(写真)
 目的地まで地下鉄であとは自転車で移動します。



3 イギリスの教育改革

 20世紀後半になると、先進諸国は日本の経済発展が質の高い教育制度と内容に支えられていることを認め、国民の教育水準を高めることが経済の発展に欠かせないと自覚するようになりました。
 イギリスにおいても1976年、時のキャラハン首相は混乱する学校教育を憂い、基礎・基本の学力を身につけること、保護者や地域が一体となった学校づくりを求め、教育改革に着手しました。
 以来、サッチャー首相、メージャー首相、現在のブレア首相にいたるまで教育改革は継続されています。
 イギリスにおいて進められている教育改革は、教科を中心とした基礎学力の向上、学校経営システムの改善、規律に重きをおく生活指導などが目標となっています。

 調査目的

 私たちは、イギリスの義務教育について、仕組み、教育水準向上のため設置されている 「教育水準監査院」 (OFSTED) 制度、定期的に実施される全国共通テスト、直面している課題の調査のためロンドンを訪問しました。
 調査時期がイースターで学校が休業であったので、ロンドンの初等学校でファーストクラスを担当しているメアリー先生からお話をお伺いしました。


 義務教育制度

 イギリスの学校制度は複線型でありますが、義務教育は5歳から16歳までの11年間であり、その内の5歳から11歳までが初等学校、11歳から18歳までが中等学校であり、16歳までが義務教育です。
 イギリスには日本と同じように、国立の学校であるステイトスクール、私立の学校のプライベイトスクール、貴族などの子どもが通うパブリックスクールの学校があります。
 初等学校には、5歳から7歳までのKey-Stage1と7歳から11歳までのKeyStage2があります。
 初等学校はじめイギリスの学校では、教育水準監査院 (OFSTED) による業績評価を受けるため、読み・書き指導の充実、計算力の向上などの具体的な教育目標を設定しています。
 5歳から7歳までのKeyStage1におけるクラス編成は25人から30人程度であり、基本的には一クラスを複数の教員で指導しています。
 複数の教員の内の一人は保母や幼稚園教員資格を持っている教員を当てることが一般的とのことでした。


 義務教育での全国共通テスト

 基礎的学力の定着と教育水準の向上を目指してイギリスの義務教育の学校では全国共通テストが実施されています。
 共通テストは、KeyStage1最後のYear2の7歳、KeyStage2のYear6の11歳、義務教育最終年のYear11の16歳の3回実施されます。中でも初等学校では11歳児に行う第二回目のテスト、中等学校では16歳で行う最終テストが重要視されています。
 また、子どもにとっては義務教育最後の16歳時のテストが大切であり個人情報として保存されているようです。
 テストの教科は、国語 (英語) ・数学・理科の三教科で結果は、優秀・大変良い・良い・普通・平均以下・良くない・非常に悪いの七段階で評価され、四段階の 「普通」 までが合格になるとのことでした。
 なお、合格にならなかった子どもたちは進級はするが、教師が責任をもってフォローすることになっています。
 また、最後の16歳のテストで不合格になった場合はYear12からYear13でフォローするそうです。
 イギリスでは、カリキュラムは伝統的に個々の学校で独自に作成していましたが、1976年から始まった教育改革の一環として、1989年に日本の学習指導要領に当るナショナルカリキュラムが導入されたので、全国共通テストもそれに基づいて作成されているとのことでした。


 OFSTEDによる業績評価

 イギリスで教育の基本的な事項を決めているのが 「教育法」 であり、日本の 「教育基本法」 に相当するものです。  この法律により、イギリスの教育水準の確保と向上のために1992年に設置されたのが、「教育水準監査院」 (The Office for Sta-ndard Education) であります。

  • OFSTEDの目的
     ・学校教育の質と教育水準の向上 (定期監査)
     ・監査結果の公表と助言 ・地方教育機関の監査
  • OFSTEDの役割
     学校を監査し、次の事項等を教育大臣に報告することが義務づけられています。
     ・学校の教育水準
     ・児童・生徒の学力状況
     ・学校費用の運用
  • OFSTEDの監査
     ・すべての学校で4年に一度 (現在は6年に一度に変更)
     ・監査結果の公表 (公文書)
     ・学校訪問調査
  • 監査内容 (主な事項)
     ・学校の業績
     ・学校の改善事項
     ・全国共通テスト結果
     ・児童・生徒の態度
     ・児童と学習
     ・保護者や地域との関係
  • 保護者への概要報告
  • OFSTEDの監査人
     発足当初は4年に一度、現在では6年に一度イギリスの全ての学校が受けるOFSTEDの監査人は、
     ・OFSTEDの職員
     ・教育専門の監査人
     ・素人の監査人
    などで構成されています。
  • 監査の方法
     ・初等学校 4人から5人の監査人が3日間一教員に七回の授業観察
     ・中学校 8人の監査人が一週間一教員三回の授業観察
 教育改革の問題

 1976年以来続けられているイギリスの教育改革の問題点について、初等教育に携わる教員たちは、

  1. 教育改革は必要であるが、イギリスの教育改革は政権が変わるたびに、目まぐるしく変わり子どもや教員が対応できなくなっている。基本方針により方向性を明らかにし継続性のある改革を行うべきである。
    教育を政争の具にするのではなく、子どもを中心にした改革を実施すべきである。
  2. 教員が、目まぐるしく変化する教育政策により、たびたび仕事の内容が変わり不安定な職場環境 (労働環境) に置かれている。
    そのため、ロンドン (イギリス) では、教員への志望者が少なく、教員不足になっている。
  3. 政府は教育予算は増やすが、性急な成果を求め過ぎている。
  4. OFSTEDによる監査が教員の大きな負担になっている。
    子どもよりもOFSTEDに目がむいた教育が行われるようになっている。

と訴えていました。
 教育を含めて改革は明確な方向性を示し、時間をかけて行うことが必要であり、結果を急ぐと混乱を招くとも言っていました。



4 ヨーロッパの農業情勢
 I NFU (National Farmars Union)

 NFU (イギリス農民組合) を訪問し、農業経済担当のフランク氏より報告を受けました。

1 NFUの組織
 NFUは、イギリス国内においてスコットランド、北アイルランド地域を除く、イギリス、ウエールズ地域における農家の約70% (8000戸) で構成するイギリス最大の農家組織です。任意団体の為、残りの30%は地域単位での小さな農家組合を構成しています。
 50人のカウンセラーズという農家代表と、互選によるプレジデントを選出し、組織の意志決定はそこでされます。100年の歴史を持ち、400人の職員を有します。
 NFUは、
(1) 農家の利益・要求の実現
(2) 政府の意向を農家へ伝える
(3) EUの農業政策を農家に伝える、等の活動を行っています。
 また、全人口の2%の農家が、98%の非農家の理解と協力を得るため、マスコミ対策に重点を置き、15人のプレス担当を配置しています。同時に要求実現のため、国会議員と有効な関係を保つ努力も払っています。

2 イギリス農業の現状
(1) 1995年からの農業不況
 1930年世界大恐慌以降の最大の不況といえます。
 農業生産高が、1995年60億ポンドでありましたが、2000年には19億ポンドに下落しています。その結果、農家1戸当たりの年収は、5200ポンドと事務系職種の3分の1程度となりました。併行して、農家人口も1998年50万人が、2000年45万人と10%減少しています。
 不況原因は、

  • アメリカ、アジア、ロシアの農産物価格の下落
  • 1996年狂牛病、ヤコブ病の発生。牛、豚、羊への規制強化
  • 為替による打撃 (農業補助金は、EUよりユーロ立てで支給されており、1998年ユーロの価値が30%下落した)
  • 2000年小麦の大高騰、2001年口蹄疫発生などです。

(2) 狂牛病の現状
 1996年に発生し、政府は、

  • 30ヶ月を越える牛の出荷停止
  • と殺場での規制強化 (農家への費用転嫁)
  • ボンミール (粉砕骨) リサイクルの禁止等の規制を行いました。

 購買力が低下しましたが、規制強化により現在は持ち直しています。しかし、農家の負担は多大なものでありました。

(3) 口蹄疫の現状
 [1] 経過
 1967年乳牛で発生し、その後、1981年小さな島で一部発生しました。
 2001年2月東北地方で発生し、大きく拡大しました。
 原因は不明ですが、不法に輸入した肉が感染しており、その残飯を熱処理無く豚の餌にした事が影響しているのではないかと言われています。
 広がった原因は当初豚に口蹄疫が発生したが、対策を講じなかった事が挙げられます。
 [2] 政府の対策
  ・牛、豚、羊の生きたままの輸出禁止
  ・乳製品輸出禁止
  ・発生地の家畜移動禁止
  ・発生家畜の農家及び隣接農家の家畜をと殺、焼却
 今まで、約150万頭処分されましたが、今後2〜300万頭が処分される見通しです。 (イギリスの家畜の4〜6%)
 現状はピークを過ぎたと認識しています。また、ワクチン注射を検討中ですが、効果は不明といわれています。
 [3] 経済的影響
 直接損失は、10億ポンドですが、観光などへの間接的影響を含めると、イギリス経済への影響は50億ポンドとか90億ポンドと言われています。
 [4] 農家対策
 政府が市場価格相当の補償金を支給しています。
 今後は、見込み損失対策が必要であり、EUへ支援制度の検討を要望しています。

(4) 食糧自給率
 大英帝国時代、植民地から食糧を補給しており問題はなかったが、第2次世界大戦後食糧不足をきたし、自給率向上の機運が高まりました。
 2000年の食糧自給率は、67%であり、自国で生産できるものは80%であります。

(5) その他
 各国が、EUに対し、多くの分担金を拠出し、EUが補助金として各国の農業格差を埋めており、各国は、狂牛病、口蹄疫など短期的な保証を行っています。
 農業振興においても、EUを核としてEU全体が一体感のあるものと感じました。


 II イル・エ・ビレーヌ県農業会議所

 イル・エ・ビレーヌ県農業会議所を訪問し、フランスの農業事情をルスアウス参事から、グリーンツーリズムの実態をエマニエルさんから報告を受けました。

1 イル・エ・ビレーヌ県
 イル・エ・ビレーヌ県は、フランス北西部に位置するブルターニュ地方の4県の一つで、県都はレンヌ市です。パリよりTGV (フランスの新幹線) にて2時間、サン・マロなどの港まで70kmと便利なところに位置しています。
 比較的雨が多い気候で、フランスでも有数の農業県であり、農家14000戸、農業労働者21000人、関連労働者60000人、農家一戸当たりの耕地面積32ha、県内生産高の7〜8%を農産物が占めます。特に、畜産が重要な地位を占め、年間売上げ高は、85億フランにのぼり、乳牛33%、養豚22%、肉牛20%となっています。

2 農業会議所の組織
 農業経営に関する半官半民の支援組織の一つであり、本部をはじめとして、県内に5カ所の出張所を有し、110人の職員で構成されています。
 主な業務は、(1) 生産技術指導 (2) 農場への関係情報の伝達 (3)農場と行政との連絡調整などです。
 組織の運営は、農場の代表者が組織の責任者となっています。この代表は、イル・エ・ビレーヌ県1万4000戸の経営主の中から6年に一度の選挙で選ばれ、会長・副会長を始め、農業会議所内の各専門分科会の長などの職を原則的に無報酬で務めます。この45人は、理事会を構成し、行政組織 (県の農業課) と農場のパイプ役として、年に3回定期的に開催する農場との会議などを通じて行政の情報・施策の伝達や同意の取り付けを行ったり、逆に農場の要望を行政組織に伝達・陳情します。
 農業会議所の年間予算は、6000万フランで、構成は、税金が50%、県議会、地方議会からの補助金が20%で、残りの30%を農家からの指導料でまかなっています。

3 フランスの農業政策
 フランスは、過去30年間農業については栄光の30年でありました。EUの政策で農業政策はうまくいっており、基本的には、

  • 農業は自由経済にすれば崩壊する。イギリスが例である。
  • EU、フランス政府段階で価格調整と補助は必要である。
  • 生産物は、生物生産で食品安全性が必要であり、遺伝子組み替え技術をむやみに使うべきでない。

と考えています。
 3〜40年前は、一戸当たりの耕地面積が8〜12haと狭小であり、多品目生産でありました。その後、農業経営の改善に力点を置き、規模拡大に務めました。一方、農家戸数は減少しました。また、農業団体の組織化にも力を入れました。
 農地の過度の集中をさけるため、サーフェルを組織化し、農家が土地を売る際、サーフェルへ土地を売り (農地の先取り権) 、その土地を小規模農家へ優先的に売ることにより、一戸当たりの耕地面積を平均的に向上させることができました。
 国際競争力を高めるため、

  • 生産物を特化し、スケールメリットを出す。
  • 輸出先の3分の2をヨーロッパとし、輸送費の低減を図る。
  • 消費者ニーズ (量から質<安全性、環境への配慮>へ) に対応する。などの努力をしています。

4 イル・エ・ビレーヌ県の畜産業
(1) 狂牛病
 被害は、200頭以下です。対策は、すべての飼料に動物タンパク混入を禁止すると共に、ブリオンの検出検査を30ヶ月以上の牛に必ず行っています。過去、50万頭のうち12頭が発見され、対象農家の牛を全て焼却処分しました。現在、牛の消費量が減少していますが、高齢乳牛を殺すなど需給調整を行っています。
(2) 口蹄疫
 2件発生しました。発生農家の周辺3キロメートルの牛は、すべて焼却し、10キロメートル以内の動物は移動禁止としました。
(3) 糞尿対策
 イル・エ・ビレーヌ県は畜産県であり、糞尿対策に頭を痛めています。
 家畜の糞尿を牧草地へ散布していますが、量が多く牧草地で吸収できず、環境問題となっています。処理工場を造って肥料として販売する計画もあります。

5 グリーンツーリズム
 グリーンツーリズムとは、まとまった期間の休暇を利用して農村などに滞在し、豊かな自然を満喫しながら郷土料理を味わい、軽スポーツや地域の伝統芸術を楽しむといった旅行の形態です。特に、ヨーロッパでは、長期間の年次休暇制度が確立されていることもあり、グリーンツーリズムが盛んです。また、ヨーロッパでは、普通通俗的に名の通った観光地をめぐる薄利多売型のパッケージ旅行はあまり好かれない傾向にあります。
 ヨーロッパでは、行政そのものが農産物の供給過剰問題や環境保全・景観保全問題に早くから取り組み、その解決策の一つとしてグリーンツーリズムの活性化を求めています。
 しかも農家が宿泊施設の経営に乗り出す際の規制が非常に少なく、ほとんどの場合届け出制で済みます。一方日本は、様々な法律に規制され、思うようにグリーンツーリズムの理念を自らの民宿経営に反映できない実態があります。
 農村でのツーリズムとグリーンツーリズムは同義語ですが、農家でのツーリズムとは少々異なります。田舎での住居とレジャーと食事を行う形態をとります。
 フランスでは、パリの次にレンヌへの観光客が多く、フランスの旅行の23%は、グリーンツーリズムです。そして、農家の2% (ブルターニュは3%) がグリーンツーリズムを受け入れています。グリーンツーリズムは、イタリアをはじめ、他国でも伸びています。
(1) 推進組織
 [1] 1954年  「家を借りましょう」 組織結成
 地方・県・町レベルでのクラス分けを行い、ガイドブックを製作し広告しました。
 [2] 1975年  「ようこそ農家に」 組織結成 (略称BF)
 全フランスで3500戸の農家が加盟し、農業会議所も積極的に推進しています。
 別途、 「田舎の歓待」 (AP) という自然農法中心の組織も存在します。
 BFは、農業従事者に限り、以下のメニューの体験が選択してできます。
・レストラン
・乗馬
・宿泊や食事 (日本の民宿)
・キャンプ場 ・午後のおやつ (ティーサロン)
・農産物直販
・狩猟
・農家体験 (学校カリキュラムの一環としての体験学習)
 BFの目的は、農家の主婦が農家にいられるようにするためであり、会議所は、農家でのツーリズムを進めています。そして会議所の任務は、農家レベルの調整、制定、及び指導です。



5 緑の党を訪問

 私たちは、4月23日ベルリンにおいて 「緑の党」 を訪問し、ハンスーヨゼフ フェル (Hans−Josef Fell) 国会議員政策担当スタッフのカーステン ファイファー (Cars-ten Pfeiffer) さんから、緑の党、原子力発電所問題、環境問題についてお聞きしました。

 緑の党について

  「緑の党」 は、20年の歴史を持ち、80年代にヘッセン州で地方の連立政権に参加して以来いくつかの州で、約15年にわたって連邦の州政府に参加しました。そして2年半前から社民党と連立を組み国政の場で政権を担い、与党として国政に多大な責任を負っています。
 前回の連邦議会選挙において、 「緑の党」 の得票は6.7%、社民党が42%という結果の下で党の政策を反映できないこともあり、ケイス・バイ・ケイスで妥協せざるを得ないとのことです。
 特に現在政策で大きな違いは、環境問題における石炭政策推進か否か、交通対策における車社会擁護の道路建設か鉄道への転換か、外交問題では武器輸出の容認か否かがあります。
 しかし、政策の違いはあるが、連立政権に参加したことにより 「緑の党」 の政策が実現される可能性が大きくなりました。


 原子力発電所の廃止

 ドイツでは、コージェネ政策 (熱を逃がさずリサイクルを行う) が進められ、また、ガス発電が開発され、電力が余っています。
 原子力発電の占める割合については、総電力量の30%、トータルエネルギー (電力、冷暖房、交通機関等のエネルギー消費の合計) の10%です。
  「緑の党」 が社民党と連立政権を組んでから、原子力発電所について、稼動後30年を経過した発電所から順次廃止することが決められました。
 古い発電所では2〜3年後に廃止され、最も新しい発電所 (13年前に建設された) が17年後に廃止され、原子力発電所は、17年後には全て廃止されることとなっています。
 原子力発電による電力は、廃止後は他の電力でカバーすることは可能であるとのことです。
 緑の党では 「再生可能エネルギーに対する優先順位設定に関する法案 (再生可能エネルギー法) 」 の国会提出を予定していますが、そんな中で、昨年、再生可能なエネルギーが6%から7%へと1年間で1%増えたことから、原子力発電所が全廃される17年後には、再生可能なエネルギーが17%増えるであろうと希望的観測をしています。
 原子力発電に代わるものとしては、中期的には、風力、バイオ、長期的にはソーラー、地熱発電等が考えられています。
 これらは、政治的にやるかやらないかを決めることによって開発が進むものと思われています。
 しかし、石油や天然ガスは無限ではなく有限であり17年後に価格がどのようになっているか分からないこと、再生可能なエネルギーの価格は17年後には下がるものと思われるが、17年後のことは、今、分からないとのことです。
 再生可能なエネルギーの開発は、経済発展につながり、原子力発電所の稼動年数を30年から引き伸ばすことは考えていません。
 与野党の政権交代 (緑の党が政権から離れる) があったとしても、再生可能なエネルギーの開発が遅れるおそれはあるものの、国民の原子力発電に反対という考えが定着していること、また、経済界と原子力発電を廃止することについての契約を結んでいるため、原子力発電を廃止する政策は変更されることはないであろうとのことです。
 原子炉あるいは高レベル廃棄物の (無害にするための) 最終的な処分法は、世界でもいまだに開発されておらず、千年あるいは万年も地下深く埋設することになり現代人では責任を持てないと言われています。
 そのことから原子力発電所は、 「モーターをつけたもののブレーキをつけ忘れた自動車を作ったようなもの」 と表現されました。


 環境問題について

  「緑の党」 の環境政策について、旧東独では環境という問題が国民に隠されていたので、旧東独の人々にアッピールしづらく理解が得られにくい状況にあります。
 車の排ガスを減らすため、アウトバーンの交通規制 (スピード規制) を行いましたが、シュレーダー首相が車の 「スピード狂」 のため道路全体 (州道は政府管理、その他の道路は市町村管理) のスピード規制ができないでいます。
 車の排ガス規制については、EUの規制のほうが厳しく、今後ますます厳しく規制されることになっており、限りなくゼロに近づける努力がなされています。
 2001年1月から交通機関利用者の通勤費用について、マイカー通勤者と同様 「税制上」 の控除対象となりました。
 さらに、道路建設予算に比べて少なかった鉄道補修予算 (鉄道は民間であるが国の補助金で行われる) が同額となりました。
 ゴミについては、紙、生ゴミ、瓶、金属、プラスチック、その他に分別され、生ゴミはコンポスト、他のゴミはリサイクル、リサイクルできないゴミについては焼却、あるいは埋め立て処分が行われています。
 焼却処分する場合、ダイオキシンが発生しないような装置が開発され、処分されています。
 中世は大部分が森林であった所が、人口の増加にしたがって減少しつつあり、現在では国土の30%にまで減少しています。
 排ガス規制が行われた発端は、人間に悪影響を与えるからではなく、森林に大きな影響を与えるからです。
 しかし、森林を国土保全のためと考えていますが、新しく工場が進出する度に、森林が犠牲となりその面積は減少しています。



6 首都ベルリン
 その街づくり

 1989年、東西ドイツを隔てていた、ベルリンの壁が崩壊しました。ボンからベルリンへの首都移転に伴い、今、様々な角度からの、ヨーロッパの国の首都にふさわしい街づくりが着々と進んでいます。東西に切断された歴史の記憶を縫合し、都市を再統合する、それが新生都市ベルリンのとりあえずのキーワードと言えると思います。しかし、今なお、うめなければならない東西格差は大きいものがあります。
 統一ドイツの新首都の建設と共にEU統合に伴う21世紀の都市づくりの意味もあり、街全体が建設現場と化しています。
 ベルリンの街づくりは、基本的に1930年代の街なみを復興させる (モデル) ことを、あるいは、それにできるだけ近づけることを、目標にしており、アメリカ型でなく、落ち着いたヨーロッパ型の街づくりを目指しています。
 そのため、市内全体の大模型をつくり、順次、改築をしています。できるだけ30年代以前の外面はそのままにして、内面の近代化をはかっています。現在までに63万戸のアパートが近代化を終えています。


 CO2の排出 11%削減!?

 ベルリンの人口は、ここ10年で12万人減少し、しかも、失業率は16.5%ときわめて高い。
 首都機能移転に伴い、職場は10万件以上増えましたが、IT関連が多く、旧東独の労働者を雇用しきれないでいます。
 また、建設ラッシュですが、その建設労働者も、EU国際入札なので、ポルトガルなどの安い労働力にとってかわられています。
 2010年までのCOOP3におけるCO2の排出削減は91〜96年の5年間で11%減少させたとのことですが、その主な原因は、人口の減少、アパートの近代化、東独の工場閉鎖、市場原理による東独製品の淘汰などであり、要するに旧東独の崩壊によるもののようです。
 ゴミ問題への対応は、日本と大差がないように思いました。空港に、ゴミの種類別のボックスがならんでいましたが、その表示が、ドイツ語だけになっており、国際的な都市としては不親切のように思いました。

 ベルリンの街づくりには、若い優秀な技術者が数多く参加しており、近い将来、1930年代のベルリンの落ち着いた街なみが再現されるであろうことは確信を持ちました。が、再開発が、民族の再統合となりうるのか、正に正念場と思いました。




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